『道後温泉の修繕期間中の観光客数は、10年前の4割にまで激減?』


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                    ミカエルです.




修繕踏み切れぬ道後温泉 客減少懸念、ドラマもあるし…

 日本最古の温泉とされ、松山市の観光地を代表する道後温泉。国の重要文化財に指定されている本館は今年で築117年になる。老朽化がひどく、地震などへの不安から修理の必要性が指摘されているが、具体的な計画は進んでいない。なぜ、修繕されないのか。

(2011年1月25日 朝日新聞)


 道後温泉の本館が完成したのは1894年のこと。夏目漱石が旧制松山中学に赴任したのは、翌1895年だった。つまり、『坊っちゃん』に出てくる「三階の新築」は、本当にできたばかりの建物だったのだ。
 それから1世紀以上が経過。『坊っちゃん』の頃から変わっていない本館は、当然、老朽化が進んでいる。上で紹介した朝日新聞記事によれば、阪神・淡路大震災クラスの地震が起きた場合、大破する危険性もあるという。ところが、修繕工事に踏み切るのは、なかなか難しいらしい。

 最大の問題は、工事期間中の観光客減少だ。

 現在、松山市を舞台にしたNHKドラマ「坂の上の雲」が話題を呼んでいる。その影響もあってか、愛媛県の観光客数は上向きだ。愛媛県公式サイトの「平成21年観光客数とその消費額」ページによれば、2009年における県内の観光客数は、前年より2.5%増えた。
 ところが、道後温泉の人気は落ちている。いよぎん地域経済研究センターのレポート「競合温泉地から考える道後温泉の未来アンケート結果」によれば、道後温泉の年間宿泊客数は、2000年まで100万人台で推移。「しまなみ海道」が開通した1999年には、約130万人の宿泊客を集めた。ところが、その後はずっと減少傾向。2009年の宿泊者数は前年よりさらに落ち込み、77万人だった。
 ただでさえ、道後温泉の置かれた状況は厳しい。この上、観光の目玉である本館が工事期間に入れば、宿泊者数が激減するのは確実だ。朝日新聞記事によれば、工事期間中の宿泊客は50万人台に減ると言われているらしい。10年前の約4割という、恐ろしい水準。旅館やホテル、土産物店などは、大打撃を受けるだろう。

 道後温泉本館の修繕工事は、すぐにでも手を打たなければならない問題だ。しかし、工事開始によって収入減に追い込まれる人の事情を考えると、誰もが手をこまねいてしまう……。こうした「すぐに対応すべきだが、なかなか対応できない」問題は、日本のあちこちで、多くの人を悩ませているのだろう。まさに、行くも地獄、退がるも地獄といったところ。
 関係者の気持ちを慮ると、本当に切なくなってしまう話だ。




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