後期高齢者医療 過剰な保険料軽減はやめよう
2014年10月23日 01時26分
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 超高齢社会で社会保障制度を維持していくためには、高齢者にも応分の負担をしてもらうことが欠かせない。

 75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度で、厚生労働省が、低所得者などの保険料負担を本来より軽減している特例を見直す方針を示した。2016年度にも実施する考えだ。

 低所得者については、保険料の中で全員が払う「均等割」を最大7割軽減するのが、本来のルールだ。特例では、これを最大で9割軽減としている。

 75歳になるまで、家族が入る医療保険の被扶養者だった人にも特例がある。本来、2年間に限り5割軽減される均等割が、無期限で9割軽減となっている。

 特例の対象者は865万人に上り、全加入者の過半数を占める。うち485万人は9割軽減で、保険料額は全国平均で月370円と極めて低い。特例には今年度予算で811億円が投じられた。

 75歳未満の無職や自営業の人が加入する国民健康保険より、格段に手厚い軽減策である。被扶養者だった人には低所得者に該当しないケースも多い。公平性の観点から、厚労省が特例の廃止を打ち出したのは、もっともだ。

 08年に後期高齢者医療制度が創設された際、民主党などが「うば捨て山」と非難したため、自公政権は高齢者の反発をかわそうと、特例を導入した。

 後期高齢者医療制度の目的は費用負担ルールの明確化だった。的外れの批判で、制度が「政争の具」とされた末の産物が特例だ。

 75歳以上の医療費は、5割が税金、4割が主に現役世代が加入する医療保険制度からの支援金で賄われている。高齢化に伴う医療費の膨張で、赤字に陥る健保組合が続出している。現役世代の負担感は強まる一方だ。

 支える側の納得がなければ、制度は維持できない。年齢で区別せず、支払い能力に応じて負担する方式に転換するのが、社会保障制度改革の大きな流れである。

 高齢者の生活に配慮し、特例廃止は段階的に進めるべきだ。消費増税や年金の給付抑制で、高齢世帯の家計は厳しさを増そう。政府には丁寧な説明が求められる。

 特例を廃止しても、現役世代との不公平感は残る。

 高齢者には、サラリーマンの給与所得控除より手厚い公的年金等控除があり、保険料算定のベースとなる所得が少なくなる。遺族年金は所得に計上されない。これらの見直しも、今後の課題だ。

2014年10月23日 01時26分 Copyright The Yomiuri Shimbun

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