ミカエルです




ああ、我が日本プロ野球の市場規模は、
なんと、わずか、1500億円…



以下、コピー



[Part1] 日米の経営格差「10年で5倍」



7月に開かれたプロ野球オーナー会議に、1人の経営コンサルタントが招かれた。大リーグのビジネスに詳しく、1990年代半ばからの市場拡大の様子を説明したという。



出席したロッテのオーナー代行、重光昭夫が会議後、報道陣に内容を明かした。

「メジャーは、全球団合わせた売り上げをここ10年で5倍ぐらいに伸ばしたそうだ。かつては日本と同程度だったというが、今や6000億円規模。日本はほぼ横ばいだ」


日本の全12球団の売上高は計1400億円前後と推定されている。
深刻なのは、試合の主催球団がテレビ局から受け取る放映権収入の落ち込みだ。夜のゴールデンタイムの定番だった巨人戦ナイター中継は、75年から90年まで地上波の年間平均世帯視聴率(関東地区、ビデオリサーチ調べ)が20%を上回り、ピークの83年には27.1%を記録。放映権収入の相場は「1試合1億円」と言われた。


90年代は20%前後で推移したが、2000年以降落ち込み、06年には10%を割った。中継はBSなどに移り、05年まで年間130試合前後が当たり前だった地上波での中継試合数は昨年は27試合と激減した。


娯楽の多様化によるテレビ離れ、サッカー・Jリーグの発足(93年)など背景は複雑だろう。巨人オーナーの桃井恒和(64)が「やっぱり大きい」と語るのは、4番を務めていた外野手、松井秀喜が02年オフ、米大リーグに転出したことだ。「あのころから、視聴率もとんとんと落ちてきた」


球団の収入は、入場料、放映権収入が大きく、これに球場内外での物品販売、広告などのスポンサー収入を加えた四つが柱になる。支出は選手に払う年俸、遠征費、本拠地球場の使用料などだ。
球団の経営データは非公開が多く実態は見えにくいが、多くの球団は収入が支出に届かず、実質的な赤字経営だとみられている。



黒字なのは人気の巨人と阪神、低コストを徹底する広島ぐらいだと言われてきた。収入の不足分20億~30億円を親会社に穴埋めしてもらい、売上高に計上する球団が多いという。


米国との格差はなぜ開いたのか。
ひとつには、球団と本拠地エリアのつながりの濃淡がある。米国では、地元自治体が公費負担で新球場を建設する例も多く、球団経営を助けている。これに対し日本では、自治体が建設しても、そのかわりに高額な球場使用料を球団に課す例が目立つ。


放映権の扱いにも差がある。実は大リーグでも全国中継の視聴率は低下傾向にある。だが、主催球団が個別に放映権を管理する日本と異なり、大リーグは全国中継の放映権をコミッショナーが一括管理。「シーズン中の土曜の試合とワールドシリーズ」といったパッケージにして7年などの長期契約を結び、むしろ収入は増えているという。


買い手には地上波だけでなく大手ケーブル局も名乗りを上げる。

「文化的、宗教的に多様な米国では、その違いをこえて支持される大リーグの中継は、テレビ局、広告主にとって貴重だ」。ニューヨーク在住のスポーツマーケティング会社代表、鈴木友也はこう分析する。





(笠井正基、琴寄辰男)


(文中敬称略)




[Part2] 球場「営業権」なく苦しむ球団も



球場の工夫が大きな収益を生む米球団と対照的に、日本では、球場が経営の障害となる例が少なくない。


注目の新人、日本ハムの斎藤佑樹が先発した7月中旬のデーゲーム。札幌ドームは満員の4万2000人で沸いていた。この観衆が球場で飲食をすれば、本来は球団も大きな収益を上げられるはずだが、実はドーム内のどこを見渡しても、日本ハム球団の直営店はない。



札幌ドームの外に横付けしてヘルメットアイスを売る球団直営の移動販売車  photo:Kasai Masaki
直営店があったのは球場の外。三塁側の後方入り口近くに横付けされた、ヘルメットアイスを売る1台のトラックだけだった。



こぶし大のヘルメット型容器に「41 INABA」と背番号があしらわれ、1個400円。夕張メロン、余市産の洋ナシなど6種の味から2種を選べる。



1試合平均で1000個以上売れ、試合中も球場の外にできる列は絶えない。しかし、売り場はあくまでも外。列に並ぶと雨にぬれることもある。


なぜ、こんな販売形態なのか。

「球場内での販売主は公募で選ぶが、日本ハムは過去の実績などの査定で落ちた。移動販売車は特例です」。株式会社札幌ドームの専務、島津貴昭(59)は説明した。球場で売る商品を決めたり出店許可を与えたりする営業権は、札幌市と地元企業が出資するこの会社が握り、球団の収入への貢献は小さい。一方、球団の支出は年俸に次いで球場使用料が大きい。日本ハムは1試合平均1000万円以上、年8億円前後を支払う。


日本ハムの球団経営は実は、球場問題を除けば、比較的うまく進んできた。2004年に東京から北海道へ本拠を移転。地域密着に成功し、集客は05年の136万人から今季は初めて200万人を超えそうな勢いだ。それでも親会社日本ハムからの赤字補填(ほてん)額が約30億円必要とみられる。



入場料収入はこれ以上、大きな伸びは見込めず、今後、球場とさらなる協力関係を築けないと、売り上げ増につながらない。前球団社長の藤井純一(62)は「集客することで、球団と球場の双方が利益を増やす方法を考えないといけない」。


日本の本拠地球場の運営形態は大まかに三つに分かれる。阪神とオリックスは、親会社やグループ会社が球場を運営し、資本的にも一体化している。広島、楽天、西武、ロッテ、ソフトバンクの5球団は、契約などで球場の営業収入が入る仕組みを確保した。問題が大きいのは、巨人、ヤクルト、横浜、中日、日本ハムの5球団だ。球団が球場の営業権にタッチできず、観客を集めても、入場料以外収入が基本的に球団に入らない。


球場との関係は身売り話にも影響する。昨年、親会社TBSホールディングスによる売却騒動が発覚した横浜。買収に乗り出した住生活グループとの交渉が決裂したのは、横浜スタジアムの契約が大きな障害になったとされる。


球場は横浜市の三セク「株式会社横浜スタジアム」が管理する。球場使用料は入場料収入の25%にのぼり、昨年は約8億円。球団は年約20億円の赤字だ。一方、球場は開業以来、黒字を確保し、11年1月期の連結決算で約108億円の利益剰余金を計上。横浜市のOB職員を複数抱える「天下り」先でもある。10年単位で更新してきた使用契約は昨年で切れ、今年は仮契約のままシーズンを迎えた。


球団滅びて球場が残る──。そんな事態を避けるため、各球団の模索が続く。そもそも、球場を自前で建設するには数百億円かかるため難しい。自治体主体で建設した球場で、球団が営業権を確保するための一つのカギは、自治体が球団に運営を委ねる「指定管理者制度」だ。


06年、ロッテが球界でいち早く球場の指定管理者となった。04年の球界再編騒動でロッテの合併話が一時浮上し、自治体側に球団流出への危機感が出たことが追い風だった。球場を持つ千葉市、土地を持つ千葉県と協力関係を築いた。


制約が少なくなり、積極的に球場を改装。仲間同士で観戦したいファン向けには1人1万円以上と高額なスイートルームを設置。航空会社を参考にした顧客管理システムを導入してリピーター向けのサービスも充実させた。千葉県には条例を改正してもらい、試合日に飲食店が周辺で出店できるようにした。日本ハムと対照的に、こうした飲食店の売り上げの15%が場所代として球団に入る。


ほぼ入場料収入だけだった収益構造は多様化し、売り上げは04年の20億円強から昨年は約80億円に急伸した。ツインズから受け取った西岡剛の入札金など一時的増収もあったが、親会社からの赤字補填額は04年の約40億円から18億円まで減らした。



球団社長の瀬戸山隆三(57)は「創意工夫で、あらゆる営業ができて稼げる球場になった」と、将来の単独黒字化への道を描く。





(笠井正基、琴寄辰男)


(文中敬称略)

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