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経世論研究所 所長の三橋貴明の
    日本経済のボトルネックを取り去る国家コンサルティング ≪VOL.396≫

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   ☆☆☆☆☆☆ 日本経済は輸出依存である ☆☆☆☆☆☆
   ☆☆☆☆☆☆ 円高で日本経済は破綻する ☆☆☆☆☆☆
   ☆☆☆☆☆☆ 日本政府は財政破綻する ☆☆☆☆☆☆☆
   ☆☆☆☆☆☆ 日本の内需は絶望的である ☆☆☆☆☆☆

日本の新聞・テレビなどのマスメディアでは、上記のフレーズがあたかも「常
識」のように使われている。しかし、実際に数値データを調べてみると、上記フ
レーズは全て根拠が全くない「嘘」であることが判明する。嘘のフレーズが、ま
るで湿気を帯びた空気のようにまとわりつき、日本経済成長の「ボトルネック」
と化しているのが現実なのだ。
本メルマガでは、正しい数値データに基づき各種の「嘘の常識」を暴き、ボトル
ネックを取り去ることで、日本経済が着実な成長路線を進めるようコンサルティ
ングを提供する。                      三橋貴明

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-政府が国債発行で借りるお金-

国債とは、政府の借用証書である。すなわち、政府はお金を借りる際に、国債を発行する。

それでは、政府は国債を発行することで「何のお金」を借りているのだろうか。

実は、お金には種類がある。現金紙幣、銀行預金といったお金は、我々も自由に使うことが可能だ。
(政府が発行する硬貨は、金額規模が小さいので、省略する)

現金紙幣は、それを持つ者の債権であり、日本銀行の債務だ。現金紙幣をお金として使用するために
必要な条件は、「現金紙幣を持っている」のみである。現金紙幣は「法定通貨」であるため、買い物
や借金返済などの「債務の弁済」の際に、債権者側は受け取りを拒否できない。

また、銀行預金がお金として流通しているのは、人々が銀行に口座を持っているためである。さらに、
銀行間のお金の振り込みも可能だ。

A銀行の預金を、B銀行で引き出すことはできる。あるいは、決済の際にA銀行からB銀行に振り込
むことも可能だ。

銀行口座を持たない人に対しては、銀行振り込みによる弁済はできない。とはいえ、銀行口座を持た
ない成人は、少なくとも現在の日本では少数派であろう。何しろ、個人が銀行口座を開設するのに、
制約はほとんどない。

さて、この世界には、一般の国民や企業が使えない「お金」があるのだ。すなわち、日銀当座預金で
ある。

我々が日銀当座預金をお金として使えない理由は、簡単だ。日銀当座預金を持っていないためである。
日銀に当座預金を開設できるのは、政府および金融機関のみだ。

逆に言えば、政府と中央銀行は、日銀に当座預金を持っている。そして、政府が国債を発行した際に
「借りるお金」こそが、日銀当座預金なのである。

例えば、政府が1兆円の国債を発行し、国内でインフラ整備に使ったとしよう。

まず、政府は銀行に国債1兆円を渡し、銀行の日銀当座預金1兆円と交換する。この時点で、政府と
銀行のバランスシートは以下の通り、

借方 貸方
【政府】
日銀当座預金1兆円 国債1兆円
【銀行】
国債1兆円

政府は、インフラ整備の代金として、建設会社に1兆円を払おうとする。ところが、建設会社側は日
銀当座預金を持たないため、受け取れない。

というわけで、政府は「政府小切手1兆円」を振り出し、代金を支払う。政府小切手は、もちろん政
府にとって「負債」である。

借方 貸方
【政府】
日銀当座預金1兆円 国債1兆円
政府小切手1兆円
【建設会社】
政府小切手1兆円

もっとも、建設会社が政府小切手1兆円を受け取ったところで、給料の支払いすらできない。という
わけで、建設会社は小切手を銀行に持ち込み、銀行預金に変えてもらう。

借方 貸方
【建設会社】
銀行預金1兆円
【銀行】
国債1兆円 銀行預金1兆円
政府小切手1兆円

銀行預金であれば社員も受け取れるため、建設会社は給料の支払いが可能となる。銀行は、政府小切
手を日銀に持ち込み、清算を依頼する。政府は、日銀当座預金で政府小切手を清算する。

借方 貸方
【政府】
国債1兆円
【銀行】
国債1兆円 銀行預金1兆円
日銀当座預金1兆円

上記の通り、最初に政府が銀行から借りた日銀当座預金1兆円が、最終的には銀行に戻る。当たり前
だが、銀行は戻ってきた日銀当座預金で再び国債を購入する、すなわち政府に貸し付けることが可能
だ。

また、一連のプロセスを経て、銀行預金というマネーストックが1兆円増えた。

さて、上記を理解すると、巷で学者や評論家たちがまことしやかに語っている、
「今は家計の銀行預金が十分であるため、政府の国債発行は可能だ。いずれ、家計の預金が尽き、破
綻する」
といった論調が、いかに間違っているかが分かるだろう。政府は別に、銀行預金を借りているわけで
はない。日銀当座預金だ。

しかも、政府が借りた日銀当座預金は、最終的には銀行に戻る。

「政府が借りることができるお金がない」などといった事態は、物理的に起きえないのだ。

「お金」に種類があることを認識し、各種の決済や取引において「どのお金」が動いているのかを確
認しなければ、真実は見えてこない。

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■マガジン名  週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
  経世論研究所 所長の三橋貴明の
  日本経済のボトルネックを取り去る国家コンサルティング 
■発行者     三橋貴明
■所属 株式会社経世論研究所  http://keiseiron-kenkyujo.jp/
■ブログ  http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/
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